2012年8月11日土曜日

Bel Homme, Alejandro-Lady Gaga


Bel Homme公募展Bel Homme+ いよいよはじまりました!
出展者様それぞれの少年・青年表現にとってもワクワクしています。 作家さん投票もあるのですが、意気揚々と数人投票しようとボタンを押したら、上限一人なんですね…ま、迷う…。
学生時代友人と男性画もっとメジャーに!という話をしており、 Bel Homme様の取り組みは大変心強く感じます。 幻想文学に出てくるような優美で中性的な美青年からかわいらしい少年まで、 愛でられる対象としての男性性に着目していきたいです。 筋肉隆々の男性が従属している様なども大変耽美なのでいつか描けたらなぁ。 写実的男性から精神的、概念的男性まで、男性画、とっても奥が深いと思います。

 Lady GagaのAlejandroPVが被支配的な筋肉表現が素晴らしく、しょっちゅう見てます。 筋肉=武力=支配者であり、男性に蹂躙・搾取される女性像。 しかし搾取しているつもりの男性も、権力であったり更に強い何かに蹂躙されている。 このPVで身悶えている男性(兵士?)達は確かに女を貪ってもいますが、同時に人以上の何かに支配され、従属し、身を捧げているようでもあります。聖と俗が一体になってとても美しいです。

2012年5月13日日曜日

Tales From The Flat Earth - Tanith Lee 平たい地球シリーズ-タニス・リー


闇の公子 タニス・リー/浅羽莢子 訳


 未だ地球が球体ではなく平らかだった頃、侮蔑と皮肉と嘲笑持ちて人界を飛翔していた妖魔の王アズュラーンは孤独かつ悲しげな女の泣き声を聞く。 好奇の念に満たされ赴いた先、事切れた女の先刻産み落としたばかりのみどりごの類まれなる美しさ。 名状し難く深い痛みに貫かれ、アズュラーンはみどり子を妖魔の都に連れ帰り、みどり子はやがて美しい若者に成長する。 公子とシヴェシュは共に地底の奇跡を見、狩―眠れる人の魂―のに出で、地上に残酷な夜の御技を施し愉しむがやがて、 人の子であるシヴェシュは妖魔の厭う太陽の光を希うようになる…。

『「だが予はそなたには、滅多に人間には与えぬ贈り物を数多くとらせよう。そなたはわが息子、わが弟、わが恋人となるのだ。予はそなたを愛する。わが愛は軽々しくは与えられぬが、ひとたび与えられなば確かなものとなるのだ。
ただ一つ、忘れてはならぬことがある。
一度たりとも予を敵に回すことあらば、そなたの生命は風の中の塵か砂に等しくなるのだ。愛するものが失われなば、それを滅ぼすのが妖魔の性。」
だが若者はアズュラーンの目を凝っと見つめて言った。
「貴方さまのお怒りを招くようなことあらば、わが君、死の外に何を望みましょう?」
するとアズュラーンは身を屈めてくちづけした。』

 ダークファンタジー版千夜一夜物語ともいうべきタニス・リーの代表作。
 一様に見目麗しく残酷で気位の高い妖魔の貴族ヴァズドルー、 その妖魔の中の妖魔たる闇の公子アズュラーンが玩具ともいうべき人界に仕掛ける悪虐な戯れの数々を描いたオムニバス。

『宮殿そのものは、外は黒鉄、中は黒大理石で、地底の不変の光に照らされていた。
地上の星の光さながら無色の涼しい輝きであったが、何倍もまばゆく、
黒青玉(サファイヤ)や深い緑玉(エメラルド)や暗い紅玉(ルビィ)の巨大な窓を通して
アズュラーンの広間に流れ込んできた。 外には幾つもの露台のしつらえられた園があり、
壮大な杉の木が植えられ、その幹は銀、葉は黒玉、花は無数の水晶であった。
そこかしこに青銅の鳥の泳ぐ鏡のごとき池があり、美しい翼ある魚が木々に宿って唄っていた。』

 妖魔の都ドルーヒム・ヴァナーシュタの地底の銀の暗いきらめきの美しさ。
 とりどりの宝石の色彩に満ちた文章もさることながら浅羽さんの訳が素晴らしく、 文章の一行一行から馨しい夜と死のエロスの香りが匂い立ってくるようです。
 アズュラーンの人間への愛、弄び殺し守る愛は時にヴァズドルー達が人間に嫉妬をするほど。
ある者は寵愛し、ある者は破滅させ、醜女に美貌を与え、引き裂き、人界に災いの種を蒔いていくアズュラーンの悪意に満ちた美しさ、 ある超越的な幼稚さ、全てがとにかく美の極致。耽美幻想好きな方なら読んでおいて絶対に損は無いです!
 美、美、全てが美と愛に満ち満ちています。 絵でアズュラーンの美貌を表現できたら絵人生終わっても良いと思っていたら!も~新装版の美麗さに唖然…。旧版持っていますがもう一冊買いたいです。




死の王 タニス・リー/室住信子 訳

かつてこの世が平らかだった頃、冷酷無残な女王と死者との交わりに両性具有の子が生まれ、シミュと名づけられた。シミュは長ずるに及んで、我が身の秘密を知る―――汚穢と禁忌に彩られた出生に死の王ウールムが一役買っていたのだ!死の王に仇をなすため、シミュは闇の王アズュラーンの助けを得て〈不死の都〉を築きあげた。これを知った死の王は、シミュのかつての恋人にして不死身の魔術師ジレクを〈不死の都〉に差し向けるが…。2人の美青年の倒錯した愛と退廃の美を軸に、死の王と闇の王との権謀術数を描いた、タニス・リーの最高傑作。世界幻想文学大賞受賞。
 
 幼い頃不死身の井戸の火に浸かったジレムは善行の道から追われ、不死身の体故に死ねもせず悪からも追い払われ、寄る辺無い放浪の果てに自らに残忍さを見出し嘗ての友であり恋人であったシミュを憎むようになる。ネタバレになりますがシミュと行き着いた果ての激しくもなく静かでもない温度の無い炎のような絶望と、エシュヴァに笑われる滑稽さ、そして襲ってくる悲しみの途方もなさに呆然とした記憶があります。

 少女のような美貌の若者が臥所を共にする相手、同性愛の女王ナラセンのエピソードもパンチが効いていて面白いですし、死の概念が擬人化された存在であるウールムの描写の美しく、同時に同情まで感じる一千年の疲労の様子。自らの王国で死者の魂が紡ぐ儚いまぼろしの他心を愉しませるものは何も無い。同じ闇の公でも初めから妖魔として存在していたアズュラーンと概念の擬人化のウールムでは性質も権力の及ぶ範囲も何もかも違い、アズュラーンの気ままさと見比べると死という終わらない仕事を負ったウールムには哀れみが沸きます。

『<死>にふれるとは、<死>の肌に触れるとは、文字通り、死を実感することであった。
ある者にとってはそれは解放、多くの者には恐怖。だが、肉体が自ら滅び朽ちはてる、
時みちての死以外に死をいうことのかなわぬジレクには、それは祝福であり慰藉であった。
麻薬のようにそれは彼を酔わせ、すんでのところで失神させそうになった。
失神という仮死こそは<死>が彼に贈りうる唯一の贈り物、自己不信の泥沼と、人間存在そのもののもつ、
把えどころのない、獏とした邪悪さからの究極の休息を約束してくれるものなのだったのだが。
けれども黒い手は引っ込められ、夢見心地でジレクは<死>の白衣の膝元に顔をうずめていた。
畢竟、彼はこのふしぎな訪客に恋をしているらしかった。』 
 


他の著作も時間を見て語りたい~~~

2012年2月5日日曜日

Henri Le Sidaner アンリ・ル・シダネル

図録
ルドン展、 シダネル展に行って参りました
シダネル展ここ最近ないくらい感動しました…
印象派ほど押し付けがましくなくしんしんと愛情が溢れるような優しい画面で、作家さんのドキュメンタリーを見て納得…。村を散策するシダネル老人の人となりを感じます。
埼玉の展示は今日最終日だったのですが体に鞭打って行ってよかった!
都内で春にやるみたいなのでまた行こうかな~。素敵だ~。