2009年5月3日日曜日

The Beast that Shouted Love at the Heart of the World 世界の中心で愛を叫んだけもの

思考跳躍的形而上SF短編集。
狂気と愛の流出を排出として描いた表題作。
完全な平和=自己愛の循環でのみ可能でという結論。
暴力と優しさが混在する世界への愛着を感じる。

Frankenstein: or The Modern Prometheus フランケンシュタイン

はじめ無知で善良だった怪物が知恵と共に憎しみや残酷さを学んでいく様は、同じくSFの『アルジャーノンに花束を』ととても似ていて、キリスト教的な知恵=罪悪について考えてしまう。
 博士と怪物、親と子、創造主と人間。愛を求め、見捨てられた憎しみの構図はいつ読んでも胸に来ます。最高の愛憎劇。

Una Stagione All' Inferno 地獄の季節

激しい言葉の奔流から生み出されるイメージたち。翻弄されたまま一気に読みきれました。
この激しさで以って魂をぶつけた詩作をこの後一切捨ててしまった、
彼の絶望はいかばかりだったのかと思います。

Heliogabalus: Or, the Crowned Anarchist ヘリオガバルス-または戴冠せるアナーキスト

シュルレアリスムの概念を知らない頃に読み、不可視の、しかし絶対的に存在するある一定の真実について刻々と描写してある本書に不可思議な感覚を覚えました。
それは著者アルトーの視界、アルトーにとっての真実の記述でした。

その記述は形而上のヘリオガバルスの姿を探るように旋回し可視の事実に近づくこともあれば、また彼にのみ見える事実へと蛇行するように描写されます。

私にとって本書では、ヘリオガバルスは不在です。
しかしアルトーの思考の軌跡を追っていればおのずと目の眩むような光に翳る彼の姿が、彼の衣の裾が、鮮烈な残像が視えるのです。

人生を変えた一冊でした。